100円の価値

土曜日の朝早く、母から電話がかかってきて、今から買い物に一緒に行きたいという。急いで支度をして、娘と母の家に迎えに行った。母に聞けば今日の予定は、一緒にお昼ご飯を食べて、100円ショップに行って、食料品を買うというコースのようだ。

すべての予定が叶う所といえば、ショッピングモールが浮かぶ。車を走らせ、ショッピングモールに到着して、お昼ご飯を一緒に済ませ、100円ショップで必要なビニール袋などを調達して、今度は食料品の階に行こうと歩いていたら、娘が着物屋さんの前で珍しく立ち止まって、お店の中を覗きながら、私達を呼んでいる。娘の近くに行くと、「着物が100円だって!」と目を輝かせながらいう。母は「古着じゃあない?」と言いながら、店の前に出ているマネキンが着ている着物を触りながら、「これは新品。」と目を見開きながら驚いていた様子だ。店内に入ると100円の多種類の着物が、たくさんラックに色鮮やかにかかっていた。お店の人曰く、「皆さんに着物を親しんでもらうためのキャンペーンで、おひとり様1枚とさせていただいています。」と、福引にあたったかのような気分で、店内を見て廻り、母も娘もお気に入りの1点を見つけ、試着させてもらっていた。試着をしながら、着物に似合う帯をいくつか店内から試着する場所まで、店員さんが持って来て、帯を結んでくれていた。

帯と着物を一緒に購入した場合は、ワンコインの500円という。着物と帯で、合わせて500円+税=550円という計算になる。550円×3=1.650円。「お昼ご飯よりも安い着物って!」と思わず娘にいうと、「ホント!安すぎる!」といえば、母は、「商売やっていけるんだろうか?」と着物屋を心配していた。確かに、仕入れの値段などを考えたら、どのような仕組みになって、そのキャンペーンをしているのかは不明だが、母同様に心配しながら、3人それぞれに気に入ったものを購入した。その後熱も徐々に冷えはじめ、冷静になって考えた時、着物や帯はお値打ちだったが、それに合わせる帯締めだったり、草履やその他も、いくつか小物が必要であるということに、気づいてしまったことは云うまでもないことかもしれない。

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その後食料品を購入し、たくさん歩いたたため、母が少々疲れてしまったようだった。休憩がしたいということで、近くにあったマクドナルドに寄って、アップルパイとコーヒーを頼んで、しばらくゆっくりしながら話していた。ここもオール100円の注文だった。『人は見たい物しか見れない。』と聞いたことがあった。まさに今その100円だけを注視して見ることになってしまっていた。

100円ショップのビニール袋が100円で、着物が100円。その同じ100円の価値の違いに目が点になってしまった。ビニール袋は消耗品で、入っている枚数を使えばなくなって、何も残らないが、100円の着物は洗えるということだから、汚れたら洗えば、何度でも使えるという100円の価値と、もともと着物は100円で購入できるはずがない商品が100円の値段の価値。そして、アップルパイ&コーヒーの値段も考えれば考える程、100円の価値のバリエーションに困惑しながら、“100円って凄い!その気になれば何でも買える”という結論に至った。(笑)

帰り道車の中で母は、嬉しそうに着物を見つめていた。以前は、お茶やお花に携わっていたことから、着物を着る機会も多くあり、日常が華やいでいたようだが、最近は着物を着る機会もなくなっていた中で、久しぶりに人との関わりの中で、着物を試着させてもらえたり、帯を選んだりする心弾む体験を心から喜んでいたようだった。

今年は、神社の参拝もリモートのようですが、お正月はせっかくだから、家の中なら、草履はいらないということで、3人で三種三様の着物を着ておせちを食べ、楽しみながら写真を撮って、母と娘との思い出をたくさん残そうと思いました。

ここまで、読んでいただきましてありがとうございました

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